マッスルバックって実際のところどうなの?
マッスルバックアイアンを使う一番のメリットは、人一倍ゴルフの練習するようになるって事でしょうか?(笑)
少し慣れると練習が凄く楽しくなるのは確かです。(練習好きな人はですが…。)
上達のスピード、ペースに関してはもしかすると一番遅くなるアイアンかもしれませんが、最終的に自分のポテンシャルの中で一番高い技量を会得する可能性も合わせ持っています。
当然これも、かなり練習するという事が大前提にはなりますが…。
マッスルバックアイアンは、絶対にダウンブローに打たなきゃないのか?と言われれば、払う様に打っても普通に打てますが、キャビティバックのアイアンに比べて高さが出なくて飛距離が落ちます。
ただそれだけなので、飛距離ダウンと高さで止められないというデメリットさえ受け入れられれば問題なく使えます。
でもそれでは、わざわざマッスルバックを使う意味がありません。
だからこそ、あまりマッスルバックをチョイスする方が少ないのだと思います。
それではマッスルバックアイアンのメリットは?
一番のメリットはボールをコントロールしやすいという事です。
その為に練習そのものが面白くなるという事もメリットです。
練習でフェードを会得した結果、左がずっとOBなんていうホールでのフェード攻めなどは実に実用的で効果的になります。
その為には、確実にフェードを打つ為の練習は必要になりますが、あくまでもゴルフはスポーツですから良い結果を求めるのであれば練習するのは当然の事です。
いくら易しいアイアンを使っても、基本的な練習量をこなしていなければスコアが良くなるはずもなく、勝手に真っ直ぐに飛んで行って自動的にグリーンに止まる訳はありません。
易しいアイアンと言っても、ほんの少しのミスをクラブがカバーしてくれるというくらいのものです。
結局のところスポーツには練習が絶対に付き物なのです。
他にはラフでの抵抗が少ないというメリットもあります。
ヘッドが小振り、かつ鉄の塊で重い事からラフからは芝の抵抗に負けずにスパッとヘッドが抜けます。
これが夏場に大型キャビティなどを使うと、ラフの抵抗によってヘッドが「バサバサッ!!」という感触と共に思わぬ方向を向いたりします。
ラフからのヘッドの抜けやすさ。
これはピンをストレートに狙いたい時などには大きなメリットになります。
それから打感。
打感に関しましては「良い」「悪い」という事が一番多く語られますが、それよりもどこに当たったのかが振動を通じて感じやすいというメリットがあります。
スコアライン上下のズレ、それに加えてトウとヒールの前後のズレがシャフトの振動を通じて伝わってきて、そのズレた感触のままの打球が素直に出ます。
本来、多少のミスヒットがミスショットの弾道にならないのが一番良いのですが、もう一段上のレベルを目指して行きたい人にとって、このミスヒットのフィードバックは結構重要です。
一回り芯の広いポケットキャビティなどでは、変な感触のままナイスショットが出たりするので、スコア的には結果オーライではあるものの、打った感触と弾道のギャップに気持ち悪さも残るのは否めません。
多少のミスをしながらそこそこのスコアを出す事はできますが、それ以上のスコアを目指すのには逆に遠回りになる可能性もあります。
時々、簡単なアイアンを使うクラチャンなどがいると聞いたりしますが、決してアイアンが簡単だからクラチャンになったのではなく、もっと難しいクラブも扱える技量であえて簡単なクラブを使って、安定した結果を出しているのだと思います。
最後に構えやすさ。
もしかするとこれが実は一番のメリットだったりもします。
必要以上に飾られてなくてグースも少ないので目標に対してスッキリ、真っすぐに構えられます。
打ち出す方向、弾道のイメージがしやすい形状です。
マッスルバックアイアンのデメリット
何といっても芯を大きく外すと驚くほどに飛ばなくなる事でしょうか。
これに関してのお助け機能は、ほぼゼロだと思ってもらった方が良いです。
けれどもミスして中途半端に飛んでガードバンカーの嫌な場所に入るようなケースも同時に減るので、その後にしっかりとアプローチでリカバリーできるというメリットに変わる場合もあります。
それ以外のデメリットには「勝手に上級者」だと勘違いされる事があります(笑)
それから、好きで勝手に使っているのに、現時点でのスコアと照らし合わされて、お前にはまだ早いなどと能書きを垂れられる可能性もあります。
でも、まだ早いは、いつになったら早くなくなるのか?という明確な答えもありませんし、上手くなるために練習として使っているのであれば、より早く上手くなる可能性があるのですから、世間的に「まだ早い」が「より早い」になる為に今頑張って使っているとも言えます。
まあ、ゴチャゴチャ言う御仁(特にゴルフ界には多い)の言葉には惑わされない事が一番大切です。
けれども、そのデメリットを受け入れ、我慢して使っていると徐々にゴルフの「インパクト」に理解が深まってきます。
フェースのここにこう当たると、こういう出球になるのか?とかいうのが否が応でも分かってきます。
これに関してはお助け機能満載のポケットキャビティのアイアンなどではなかなか分かり難い部分です。
あらっ?ミスったかな?と思ってもポケットキャビティなら少し飛距離が落ちるくらいで結構まともに飛びますから。
手に伝わる感触と実際の出球にズレを感じるというイメージを感じますね。
芯がぼやけるとも表現されます。
とは言ってもキャビティバックでも、真芯を食えば十分に良い感触である事は確かです。
それに比べ、マッスルバックは間違ったスイングを一切許してくれないので、スイングに対する試行錯誤が必要になり、練習時間も、またそれに伴うお金も比例して掛かります。
さらに上達とは関係ない話しではありますが、練習場でマッスルバックを使って「ペシャペシャ」とシャンキーな球を打ち続けるのも、傍から見ると背伸びした下手っぴゴルファー丸出しで非常に格好悪い思いもします。
それによって人目を気にして、やっぱり易しいアイアンに買い換えようかな?と何度も思うことでしょう。
けれども、そこを乗り越えた後に深~い理解が得られます。
人一倍ミスヒットも出るので、どうなった時にミスヒットが出るのかも理解できるのも早く、時にシャンクが出たりしても一球だけで直せる様になったりもします。
コースでは、ボールの手前に入れば薄っぺらいソールがこれでもか!と芝に刺さりますし、トップすれば痛いくらいのビリビリした振動が手に伝わってきます。
しかし、真芯を食うとチーズか何かでできたボールでも打ったか?ってなくらい柔らかい打感と共に猛烈なスピン携えてすっ飛んでいきます。クラブに
「正解!!」
って言われている様です。
実際にマッスルバックアイアンでラウンドしてみると
実際にマッスルバックアイアンをコースに持ち込むとどうなるのか?
今まで使ってみた感覚としては(通常使用しているのはミズノ MP-5アイアンです。)

スコアへの影響は初心者ならかなり大きいでしょうが、アベレージが90前後の中級者くらいなら数打落ちるくらいかな?と思われます。
普段110点~くらいで回る初心者なら、もしかすると130点くらいになるかもしれませんし、もしかするともっと叩く可能性も十分にあります。
95点前後くらいの人は98~99、もしくは100点オーバーになるかな?とも思われます。
普段から90を切っている人であれば、スコアはあまり大きくは変わらない気がします。
普段からスコア90を切っているくらいの人が、大きくスコアを崩さない理由としては、アプローチの精度に差があるからです。
90を切れる人と切れない人の差は、OBを除けばアプローチとパッティングの技量の差になります。
よく最初からスコアはアプローチとパターなどと言われますが、まずはティーショットがフェアウェイかセミラフくらいに残し、セカンドショットがしっかり打てる位置にボールを置き続けられる事、セカンドショットもグリーンに乗らないまでも、グリーン周りまで確実に運べるようになって初めてアプローチ云々って事になります。
なので、マッスルバックのミスショットによる飛距離ダウンは、アプローチ技術さえ上手ければ十分にリカバリーが可能で、何ら問題も無いという事になります。
そうなれば、今度はインテンショナルショット(能動的に曲げる)や、小振りなヘッドでラフからの抜けが良いなどメリットの方が増えてきます。
むしろ、ポケットキャビティの方がお助け機能によって、ほんの少しだけ飛距離ダウンして意図せずガードバンカーに入ってしまう事もあり、それがギリギリの距離で入った場合、グリーン側の壁に刺さっていたり、強烈な目玉になっていたり、もしくは手前の壁ギリギリにコロリと入る、などと最悪な位置にある可能性もある訳です。
それであれば、ミスショットの際に10ヤードくらいを確実にショートした方が、次のアプローチを考えた場合、逆に良い事も多いくらいです。
そのショートした分をサードショットのアプローチでカバーすれば無難に3オンが可能ですから、バンカーの難しい位置からのサードショットよりも確率が高い訳です。
そこから2パットでボギーですし、もし1パットで決まればパーも取れてしまいます。
曲げる練習には最適
また技術が上がってきて、常に80台を確実に出し続けるにはストレート弾道だけで攻めるのは難しいケースも多々あります。
絶対に打ちたくない方向へ打たない為に、保険としてボールを少し曲げていく技術も必要になってきます。
曲げながらピンをデッドに狙うまでの精度は必要ありませんが、左が全面OBの場合、絶対に左に行かない様に確実にフェードで攻めて行くくらいの技術が無いと、どうしてもラウンド中に1~2回はOBが出る為90を切るのは難しくなったりします。
例えばドライバーで、フェアウェイ真ん中を狙って両サイドに40ヤードずつ保険を掛けるより、左ラフを狙って右側全面の80ヤードを保険にする方が絶対に安全です。
その様な場合、曲げる練習をするにもマッスルバックは最適です。
確かに曲がり過ぎるくらい曲がりますが、こう打つとボールがこう曲がるというのを理解するには非常に重宝します。
直進性の高いキャビティバックのアイアンで曲げる練習をすると、必要以上に大きく曲げるスイングのクセが付いてしまいます。
つまりフェードではなく大きなスライスを打つくらいフォームになってしまうという事です。
このフォームのままで、より曲がりやすいドライバーを同じ様に打つと、曲がり過ぎてOBになる可能性が高くなり、保険どころか逆に足を引っ張る事になってしまいます。
なので普段から曲がりやすいマッスルバックアイアンで練習する事で、同じく曲がりやすいドライバーとの感覚が近くなり、怖がらずにドライバーで曲げていく事もできる様になってきます。
練習用として
マッスルバックアイアンは新品で購入するには値段も含めてちょっと敷居が高い部分もあります。
買ったものの、どうしても使いこなせないというケースもあるでしょう。
それに引き換え、中古になると需要が少ない分、ガクッと価格が下がるというメリットもあります。
市場の価格は需要と供給のバランスで決まっているからです。
マッスルバックアイアンは、コースに持ち込まないまでも、練習用にとして1セットくらいは持っていても良いんじゃないかな?と個人的には思います。
試打クラブの中古1本(7番など)だけでも良いかもしれません。
マッスルバックの難易度
イメージが先行し過ぎていて、自分には無理!ってな感じで、一度も打った経験もない事が多いのがマッスルバックではないでしょうか?
周りにも所有している人も多くないので必然的に打つ機会が少ないのも分かります。
なので見聞きした話しでマッスルバックのイメージが出来あがっているケースも多々見受けられますが、決して打てないほど難しいという訳ではありません。
確かにポケットキャビティなどに比べればヘッドもフェース面もかなり小さいですが、実際のところ1回りといったレベルではないでしょうか?
ポケットキャビティの中にすっぽり収まるくらいという感じです。
スコアラインのある実際のフェース面だけ見れば、その差は数ミリの違いなのですが、それがソールの薄さやトップブレードの薄さが相まって、相乗効果で全体が凄く小さく見えているのです。
この僅か数ミリが全体像となると、「23㎝の靴」と「27㎝の靴」みたいなもので、長さは4㎝の違いしか無いのに、実際には倍近くに見えるのと同じような錯覚が生まれます。
なので、あまり神経質にならずにフェース面が小さいからボールが大きく見えるね!くらいのノリで打ってみると思ったよりも簡単に打てるはずです。
スコアに影響しそうという事で、実際にコースにてマッスルバックを使うのには抵抗があるでしょうが、練習用に1セット、いや試打クラブの中古とか1本でも良いので持っているとイメージが変わると思います。
そんなワタクシも本来練習用に1セット買ってみたところ、思ったよりもずっと打ちやすく、毎ショットごとに精度の答え合わせにもなって良いな~などという感じで、遊びながら使っているうちに徐々に使い慣れてきて、いつの間にかメインアイアンになってしまったという経緯があります。
ただ、グースがほとんど無いものが多い事から、まだ普通に打つとスライスする事が多いという段階では構えただけで100%スライスするイメージしか出ないかもしれません。
特にロングアイアンになると、バターナイフの様な形状になってきますので…。
まとめとして
色々と書きましたが、結論としては機会があったら是非一度打ってみる事をお薦めします。
どうにもこうにも打てないというのであれば、さすがにまだ早いという事で練習を積めば良いですし、少しでも打てるのであれば最初は辛くても使って練習をしていくうちに成長速度は加速します。(まあ基本練習好きで練習が苦にならないという人はですが…。)
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