リーディングエッジで打つ意識では、バウンスは使えない。
「ダウンブロー」
ゴルフ、特にアイアンショットでは必ずと言って登場するワードですが、解釈次第でどうにでもなる悩ましいワードでもあります。
「上から打ち込む」とも言われますが、それはどういった状態を指すのかすら、思いの外しっかりと語られている事が少ないです。
大抵、上から打ち込むと言われれば、右側後方に振り上げたクラブを飛球線方向の左側前方に振りながら、ボールを潰すようにダウンブローとイメージするかと思われます。
つまり、右に振り上げたクラブのフェース面をボールに対して90度に戻しながら、最初に当たるリーディングエッジ、つまり刃の部分で上から打ち込んでいくイメージですね。
しかし、そのイメージであれば、ゴルフクラブはリーディングエッジ(刃)の部分さえあれば良いという事になります。
それでは、クラブメーカーがソールの厚さや形状、バウンス角などを一生懸命に大きくして、できる限り簡単になる様に設計しているのは何故?という事にもなりますよね。
バウンスを使って打つ。
バウンス角はクラブのソールに付いている角度です。
これが芝からの抜けを良くするのに一役買っています。
フェースから見て後ろ側についているものなので、どうやって使うの?ダフった時専用のお助け機能?
という気もしてしまいますが、常にここを使って打つ事でヘッドの抜けが安定します。
以前の記事で使った、マウスで書いた雑なイラストを使います(笑)

「スイングレフト」
つまりクラブ、正確にはグリップエンドを左に引き抜く様に振って、シャフトを飛球線のラインに対して垂直にする際のクラブの軌道になります。
グリップエンドを左に引き込みながら体を開くと、クラブヘッドはインサイドから体に巻き付く様に下りてきて、最終的にクラブは、しなり戻りながら飛球線方向に対してシャフトが90度になってインパクトします。
仮に、このインパクトの形のまま一度静止して、右手をシャフトの中央まで伸ばしたら、体が飛球線方向に開いた野球のバントの形になるという事です。
当然、前傾しているので、前傾した分シャフトが右下に向かって斜めになったバントの形ですが。
でも、飛球線方向に対しては90度である事には変わりません。
そしてフェース面はシャフトの前方ローリングで90度に管理します。
この形でヒールからボールを切る様にインパクトすると、バウンスが出てインパクトし、その後に芝の上を滑りながらヘッドが抜けて行きます。
リーディングエッジを上から打ち込むスタイルでは、一見ダウンブローに見えますが、最終的にリーディングエッジが芝に突き刺さる事で、短くて深いターフが取れるのが特徴です。
バウンスを使ったダウンブローでは、ボールにインパクトした衝撃で、ヘッドがロフト角とシャフトの傾斜角の分だけボールの下に潜り込み、カンナで削った様な薄くて長いターフになります。
なのでウェッジや短い番手の方が、ロフト分の45度くらいの角度のヘッドと、短いシャフトの半径から鋭角に入る為、より大きなターフが取れるという事になり、長い番手は20度台のロフト角で、シャフトも長くなる事から入射角度が緩やかになるのでターフはあまり取れなくなります。
つまり「素振り」で多量のターフが取れているのであれば、それは能動的にリーディングエッジを上から打ち込んでいるスイングであって、間違いとまでは言いませんが、正しくないスイングだとも言えます。
ボールへのインパクトの衝撃が無ければヘッドは必要以上に下に下がらない事から、素振りであれば芝の上を擦る感じになり、バスンバスンというバウンスが当たる音と共に、表面の芝が少し削れて舞い上がる感じになります。
このインパクトを目指してスイングすると、巷で言われている注意点が勝手に改善されます。
飛球線方向に向かってシャフトを90度でインパクトさせる為にはいくつかの動きが必要になってきます。
その動きを目指せば、昔から巷で言われている注意点が改善されます。
体を開いてはいけない? いや、体を開いて打つのが正解です。
昔ながらの日本式(決してこれがダメという訳ではありません)のゴルフでスイングを作った方に多い、特に右手が左手の上を通る様に「手首を返して打つ」タイプの方には一生理解ができない動きの一つに、「体を開いて打つ」という言葉です。
実際にシングルハンディの方でも、「これが分からないんだよな。」と言う人もいます。
もう長年の経験で、右手を返しながらインパクトするタイミングなどを完璧に習得し、結果シングルまでなっていますので、もうスタイルとして完全に確立しているのでしょう。
確かに、この「右手を返す」スイングと「体を開く」は水と油、究極に相性が悪いのです。
反対に「手を返さず」にインパクトまで持ってくるには、右腕と右手が下のまま、イラストの様な軌道で体を開いてグリップエンドを引き込み、シャフトを飛球線に対して垂直になるまで持ってこなければなりません。
そうでなければ、手首をほどいてヘッドをリリースするか、手を返してヘッドを前に出して来ない限り、どうやってもヘッドをボールの位置まで届かせる事ができないからです。
なので、もし今後、手を返さないという現代の理論のスイングでゴルフをしていきたいのであれば体を開くのが絶対条件になりますし、このインパクトの形を目指せば、勝手に体を開く事ができる様になります。
「頭を残す?」シャフトの角度とフェース面の管理を目指せば勝手に必要分が残ります。
「頭を残す」というワードも散々聞いたと思います。
しかし、無理やり頭を残そうとしても首を痛めるだけです。
手を返しながら頭と胸を残す…などという、複雑な態勢を強要された経験もあるかと思います。
この「頭を残す」に関しても、必要分なだけ勝手に残るが正解です。
シャフトをイラストのインパクトの形まで持ってくる為には、軸がほんの少しだけ後ろに残っているくらいでなければ、飛球線に対してシャフトを90度になるまで持っていく事は不可能です。
つまりゴルフでは、体が前傾しているだけで、その他の部分は体を開いた野球のインパクトの時の形と同じになるのです。
(まあ、これも昔は手を返して上から叩けと教えられた方も多いとは思いますが…。世界のプロ野球選手達は手を返して打つ経験が無いので逆にこれができないらしいです。)
頭を左に突っ込んで打ちに行けば、クラブヘッドがまだ後ろに残り、シャフトも後方に斜めになったまま残ります。
反対に頭を残し過ぎれば、遠心力で手首がほどけてクラブヘッドが放り出され、シャフトが前方に向かって斜めになってインパクトする事になります。
(ドライバーでは若干この感覚になりますが。)
なので、結論として、
「グリップエンドを左に引き込んで、ヒールから斜めにボールを切る様に、そして飛球線に対してシャフトもフェース面も90度の状態でインパクト」
ここを目指せば、勝手に体が必要な分だけ開いたり、必要な分だけ頭が残ったりするのです。
他に自分でする事は、コア(体幹)を中心にコンパクトに鋭く回る意識だけですから。
「頭を残せ!」
どれくらい残すの?
「アドレスの位置から1㎝も動かさない意識で!」
首を捻挫するわ!!
「明治の大砲になってる!」
頭を残せって言うから、しっかり後ろに残したのに!!
という事が、巷ではまことしやかに言われているのです。
最初は少し難解ですが、このグリップエンドを左に引き込んむスイングが理解できると、ショットはすこぶる安定しますし、ドライバーなどはコツが分かるとシャフトがよりしなって今まで以上に飛ぶ様になります。
フィギアスケートのトリプルアクセルの様に、体幹を使ってコンパクトに回転するのが一番速くてパワーが出ますから。
またグリーン周りからのアプローチショットも、体の返しでボールを下投げする様に運ぶ感覚になり、ビタビタ寄る様になります。
そして何よりもバウンスが滑る事で、しっかりとダウンブローで打ち込んでもダフらずに抜け、その移動距離からなる摩擦抵抗によりしっかりとしたスピンが入ります。
まとめとして。
①両腕をひっくり返して固定。
②そのまま、体幹でクラブのヒールからボールを斜めに切る様に体を開いてきてボールに直接インパクト。
③インパクトはシャフトが飛球方向に対して90度。フェース面はシャフトの前方ローリングで管理して同じく飛球線方向に90度。
④そのままシャフトをくぐる様に上に抜いてフィニッシュ。
「パンッ!!」という音と共にヘッドが抜けて、キュキュッっと止まるショットを目指して下さい!
バウンス角の大きいPINGのアイアンPINGのアイアンは昔からバウンス角が大きく、芝の上から打った時の抜けが絶妙で、アイアンが上手くなった錯覚が起きるほどです!